国土交通省は、2016年11月から実験を行い、2018年から本格導入を予定しているダブル連結トラックの中間実験報告を2017年11月に発表しました。
ダブル連結トラックの実験とは
- ドライバー不足や高齢化に対応できる
- ドライバーは免許所持期間や業務経験が5年以上必要
ダブル連結トラックとは、トラックの荷台を連結させて1台で2台分の荷物を運べる車両を指します。ダブル連結トラックの実験が行われている経緯は、主にトラックドライバー不足に対応するためであり、あわせて将来的に導入されるであろう自動運転や隊列走行の導入も見据えて行われています。
ダブル連結トラックは、本格的に導入されるとドライバー数に加えてCO2排出量もそれぞれ約5割削減できることが試算されています。また、ダブル連結トラックのドライバー要件は、大型自動車免許やけん引免許を5年以上保有し、業務経験も5年以上あることが求められています。
今回発表された中間実験報告は、2016年11月から2017年9月まで、群馬県太田市から三重県鈴鹿市までの約489キロを、新東名高速道路を中心に21メートルダブル連結トラックで走行した結果です。あわせて、中継地点の清水PAでドライバーの交替を行う中継輸送も行われています。
ちなみに、中継輸送を取り入れたことにより、ドライバーの休息時間が約3割増加したことが確認されています。
ダブル連結トラックの実験結果について
- 大型トラックとダブル連結トラックの走行性能を比較
- 加速時や左折時などに大型トラックと差が生じた
今回発表された実験結果は、21メートルダブル連結トラックで高速道路や一般道路を走行した結果で、通常の大型トラックとダブル連結トラックを比較しています。
走行時を比較したところ、ダブル連結トラックと大型トラックのスピードは大差がないことが判明し、ダブル連結トラックは加速車線合流時の加速到達速度が大型トラックよりも少し低いことがわかりました。
また、左折時は大型トラックに比べて倍の時間がかかり、後続車の速度は大型トラックに比べて約1/3に低下します。加えて、右左折時の回転半径はセミトレーラーよりも小さくなっていて、カーブを曲がる際は横揺れやふらつきも発生していません。
しかし、高速道路のPAが混み合っていることが多いため、駐車スペースが確保しにくかったことも判明しています。
今後も実証実験が続けられる
- 荒天時の走行や過積載の確認などが行われる
- 実験参加企業も公募が続けられる
ダブル連結トラックの走行実験は、今後も引き続き行われる予定です。
今後検証が予定されている実験内容は、雨や雪などが降る荒天時の走行状況確認、車両後端にカメラを設置して、全長の長いダブル連結トラックで視認性を確認することなどが挙げられます。また、荷台の最大容積が約2倍になることによって、荷物を過剰に詰め込んでいないか確認する、過積載確認などの検証も行われます。
ダブル連結トラックの2017年11月以降に行われる実験は、ヤマト運輸の25メートル車両の走行などが行われる予定です。
さらに、今後の実験参加企業は公募されていて、実験などに活用する21メートルから25メートルの車両は民間事業者により開発が検討されています。
国土交通省によると、実証実験の結果を検討した上で、実用時のコースなどを決定していくそうです。
取材協力:中部地方整備局道路部交通対策課
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