近年はトラックドライバーの人手不足が問題になっていますが、合わせて物流倉庫も人手不足に悩んでいるそうです。
物流倉庫の人手不足について
- 約6割の会社で人手不足
- 長時間労働の温床にも
2018年現在、物流倉庫は省力化などの設備投資が進んでいますが、人手不足が解消されていません。帝国データバンクの2017年10月調査によると、「運輸・倉庫」業の約6割が従業員不足という回答があります。
また、国土交通省の発表によると、2030年に倉庫業で働く20代以下の若年層が15%にまで落ち込むことが予想されています。
倉庫業はトラックドライバーに合わせて業務を行う場合もあるため、長時間労働になりやすいことも指摘されています。
Amazonの物流倉庫事例
- 売り上げの10%程度を物流に投資
- MBA取得者が倉庫管理
では、ネット通販最大手、Amazon(アマゾン)はどのように物流倉庫を管理しているのでしょうか?
近年は一部商品の自社配送が進んでいるアマゾンは、売り上げの10%程度を物流に投資していて、さらに物流倉庫の管理はMBA(経営学修士)取得者が行っているそうです。企業をいかに運営するか知っているMBA取得者が倉庫管理を行い、経営面はもちろんシステム面にも理解があるそうです。
MBAを取得した社員は、数値を元にした管理に携わり、KPI(Key Performance Indicator)を基準に日々の業務改善を行っています。
このような管理体制の物流倉庫から荷物が発送されていますが、商品発送は当日配達にこだわっています。この理由は、在庫の回転率を上げて倉庫に保管する期間を短くすることと、発送前のキャンセルを防いで、販売元への対応などの負担を回避することが挙げられます。
ちなみに、アマゾンで働くMBA取得者の年収は、およそ1000万円以上になるとも言われています。
しかし、アマゾンのような倉庫管理を行うには、人的資源やコスト面はもちろん、十数年単位の蓄積されたデータも必要になるので、とても難しいでしょう。
このため、まずは現場の問題に対応できる管理者の人材育成などが必要になるでしょう。人材を育成するためにも、雇用条件の見直しなど、労働環境を整えてみてはいかがしょうか?
物流倉庫の今後
- 物流倉庫は増えていく予定
- AIやロボットが活かされる
物流倉庫の人手不足は続いていますが、昨今のネット通販(ECサイト)の利用増加を受けて、物流効率化のために、倉庫は今後も増える予定となっています。
しかし、人手不足は解消されないままなので、大手企業の物流倉庫はAIやロボットを活用して、効率化を図ることが考えられます。
このような人手不足の対策として、海外では無人搬送機と呼ばれる自動走行可能な台車などが導入されています。さらに、AIが作業計画を立てて、無人搬送機に作業指示を行うようにする試みが、将来的に考えられています。
最終的には、物流倉庫の管理を完全無人にすることも考えられていますが、実現するのは当分先になるのではないでしょうか?
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