ブレーキはトラックのみならず、普通自動車など車両に欠かすことができないパーツです。その中でもトラックは車両重量が重いこともあって、安全性を高めるためにブレーキが重視されています。
今回はトラックのブレーキの種類や踏み方などについて解説していきます。
目次
トラックのブレーキの種類について
油圧式ブレーキ
油圧式ブレーキは一般車両でも採用されている、最も一般的なブレーキです。
ブレーキペダルに力を加えることで、その力がマスターシリンダー内で油圧に変換されます。油圧の制動力が真空状態を作り出すことによって、ディスクキャリパー、ブレーキドラムが作動してブレーキが掛かる仕組みです。
油圧ブレーキは制動力があまり強くないので、小型トラックに採用されることがほとんどを占め、中型トラック以上では使用されません。
エアブレーキ
エアブレーキはブレーキペダルとブレーキ部分へ、高圧の圧縮された「エア」を溜め込んで、空気圧を利用して制動力を発生させるブレーキです。
油圧ブレーキよりも強い制動力を持つことが特徴で、中型トラックのみならず、大型のトラックでも採用されています。
リターダー
リターダーは補助ブレーキの総称です。
トラックは車両重量が重いため、高い制動力が求められます。リターダーはエアブレーキをアシストする役割を持ち、作用することでトラックがより減速します。
そんなリターダーは3種類に分類されます。
①排気ブレーキ
排気ブレーキはトラックのディーゼルエンジンに付与します。排気ブレーキを付与することによって、起動時に排気バルブが閉口し、排気抵抗を発生させることによってエンジンブレーキと同じ効果が得られます。
②エンジンリターダー
エンジンリターダーは排気ブレーキと組み合わせて動作することで、補助ブレーキとして効果が発揮されます。
排気ブレーキはエンジンシリンダー内部に排気を溜めて、排気の圧力を利用してエンジン回転を制御する仕組みです。しかし、排気圧力が一定を超えてしまうと、エンジンの回転力が高まってしまいます。高くなった排気圧力を下げて、圧力を調整してくれるのがエンジンリターダーです。
③リターダー
リターダーは大型トラックに用いられる減速装置です。トラックの駆動を担うプロペラシャフトの回転に、永久磁石式や電磁石式、作動油などを利用することで、減速効果が得られる仕組みとなっています。
ブレーキの踏み方について
ここまではブレーキの種類についてご説明しましたが、それぞれのブレーキは特徴に合わせて踏み方も変えなくてはなりません。
油圧ブレーキの踏み方
油圧ブレーキは普通自動車と同じ仕組みなので、基本的な踏み方は同様ですが、ポンピングブレーキ(バタ踏み)の重要性はトラックにとって高くなっています。
ポンピングブレーキを行うことで、ブレーキランプを点滅させて後続車へ合図を送れますし、ブレーキ内部で気泡が発生して効かなくなってしまう「ベーパーロック現象」を防ぐ役割もあります。
エアブレーキの踏み方
前の項目でも触れた通り、エアブレーキは油圧ブレーキよりも制動力が高いことが特徴です。そのため、踏む際に足の裏全体を使って、じんわりと踏むことがポイントです。急にブレーキを踏むとABSが動作してしまうこともあるので注意が必要です。
また、ブレーキは荷物の有無で効きが変わってきます。
ブレーキは荷物がない場合、車体が軽いのでよく効きますが、荷物が多い場合は車体が重くなり、ブレーキの効きもその分悪くなってしまいます。
トラックの荷物の重量を把握しておくこともブレーキの踏み方での重要なポイントです。
ブレーキ鳴きとは?
ブレーキの鳴きとはブレーキを踏んだ時に鳴る「キー」というような音のことです。ブレーキの鳴きは突然鳴り始めることもあります。
原因は車体によってそれぞれ異なり、一概には言い切れませんが
- ブレーキパッドが摩耗している
- ローターが摩耗している
- 摩擦面が共振している
上記3点が主な原因のようです。
ブレーキパッドやローターの摩耗が原因であれば、それぞれを交換することによって鳴きは解消します。摩擦面が共振する場合は、ブレーキパッドをヤスリで削ることと、グリスを塗る事で軽減されます。鳴きが続く場合は、ディーラーや整備工場に相談してみましょう。
ブレーキの調整について
トラックのブレーキ調整は、動画などを見ながら個人で行うこともできる場合もあると思います。
しかし、トラックが車検に通らなくなったり、ブレーキが不具合を起こしてしまうと、法律的な責任を負う場合もあります。
そのため、ディーラーなどの信頼できる場所で調整してもらうことを強くお勧めします。
トラックのブレーキまとめ
今回はトラックのブレーキについて解説しました。ブレーキはトラックが安全走行するためにはとても重要な部分です。
ブレーキの特徴を押さえて適切な踏み方を実践するとともに、メンテナンスを欠かさないようにして、トラックが長持ちできるような管理を心がけましょう。