高速道路や一般道で見かける複雑な標識・標示には、普通車には無縁のものも多くあります。特に「大型貨物自動車」に関する標識は、寸法・重量の条件に応じて適用車両が決まるため見逃すとトラブルにつながる恐れがあります。この記事では、大型貨物自動車とはどんな車両なのか、どのような標識があるのかを分かりやすく解説します。まずは大型貨物自動車の基本知識から確認しましょう。
大型貨物自動車とは、貨物自動車のうち車両総重量や積載量が一定以上のものを指します。具体的には、道路交通法で「大型貨物自動車」の条件として定められているものは次のようになります※:
| 項目 | 大型貨物自動車の条件 |
|---|---|
| 寸法 | 全長12m以下 全幅2.5m以下 全高3.8m以下 |
| 重量・積載量 | 最大積載量5t以上 車両総重量8t以上 |
※上記すべてを満たす必要はなく、いずれかを満たせば大型貨物自動車に該当します。
上の表から分かる通り、大型貨物自動車は「大型トラック」にあたる車両です。例えばトレーラーやダンプカーなど、重量物を輸送する車両はこの条件に該当することが多くなります。一方、同じ「大型」の名がつく車両にも大型乗用車(バス)はありますが、バスは乗車定員が11人以上で定義されるため、貨物自動車とは区別されます。
目次
大型貨物自動車と大型乗用車の違い
「大型貨物自動車」と「大型乗用自動車」はどちらも大型自動車の枠組みには含まれますが、その定義は全く異なります。大型貨物自動車は重量や積載量で分類されるのに対し、大型乗用自動車は乗車定員で分類されます。実際の定義を比較すると次のようになります:
| 自動車の種類 | 大型貨物自動車 | 大型乗用自動車 |
|---|---|---|
| 分類基準 | 最大積載量5t以上または車両総重量8t以上 | 乗車定員11人以上(大型バス等) |
上の表のとおり、大型貨物自動車は荷物を載せる能力で判断されるのに対し、大型乗用自動車(大型バス等)は人を乗せる人数で判断されます。したがって、トラック運転手は「大型貨物自動車等通行止め」の標識で規制対象になるのは貨物トラック等であり、バスには適用されない点に注意が必要です。
道路標識による大型貨物自動車の規制

道路標識には特定の車両を規制するものがあり、大型貨物自動車に関わる重要な標識として「大型貨物自動車等通行止め」や「特定車両の通行区分」などがあります。これらの標識は運行可能な道路を示すもので、トラックドライバーは事前に意味を把握しておく必要があります。
例えば「大型貨物自動車等通行止め」の標識が設置されている道路では、規制対象の大型貨物自動車は通行できません。逆に、大型乗用車(バス等)はこの標識の対象外なので、バスは通行可能です。標識に描かれているイラスト(トラックの図柄)で規制範囲を間違えないようにしましょう。また、特定の車両の通行区分を示す標識(いわゆるトラックレーン標識)では、大型貨物自動車等は指定された車線を通行する義務があります。
大型貨物自動車等通行止めの標識
「大型貨物自動車等通行止め」の標識は、赤い円に斜め線が入った中央に大型トラックのイラストが描かれています。この標識が示すのは、「大型貨物自動車等(大型特殊自動車や特定中型貨物自動車を含む)の通行禁止」です。つまり、この先の道路では大型トラックや重機を含む大型貨物自動車の走行ができません。
なお、標識のイラストは青色のトラックで表現されており、一般の乗用車には適用されない点に注意しましょう。例えば同じデザインでバスの絵が描かれた「大型乗用自動車等通行止め」の標識であれば、トラックは通行可能です。このように、標識に描かれた車両の種類が違うと規制対象も変わるため、見間違えないよう特徴を確認しておきます。
表れた標識に補助標識が付いている場合には、さらに詳細な条件が示されています。たとえば、標識の下に「積3t」と書かれた補助標識が付いている例を見てみましょう。この場合、大型貨物自動車等のうち最大積載量3トン以上の車両が通行禁止になります。逆に、最大積載量3トン未満の大型トラックはこの制限に当たらないことになります。補助標識は制限内容を限定するもので、トラックの最大積載量に応じて走行可否が変わることを示している点に気を付けましょう。
特定の車両の通行区分の標識(トラックレーン)
「特定の種類の車両の通行区分」の標識は、青地に矢印とトラックの絵が描かれている、いわゆるトラックレーンを示す標識です。この標識がある区間では、指定された車線を大型貨物自動車等が走行しなければなりません。高速道路で見かける矢印が左向きの場合は、左端車線(第一車線)を、大型トラックなどの車両が通行しなければいけないことを表します。
一方、一般道などで同じ「特定車両通行区分」標識を見かけることがありますが、その場合は矢印が右向きであることが多いです。このときは大型貨物自動車等は最も右側の車線を走行します(周辺環境や安全性確保のため)。どちらにせよ、この標識の下では大型トラック等が指定された車線を守る必要があり、追い越しの際以外はその車線を維持します。
大型貨物自動車に関わる補助標識
道路には、主標識の内容を限定したり補足したりする「補助標識」があります。大型車両に特有の代表的な補助標識には次のようなものがあります。
車両の種類を示す補助標識
車両の種類を示す補助標識(いわゆる「車両の種類B」)には、トラックの絵が描かれています。本標識(例えば「大型貨物自動車等通行止め」)にこの補助標識が付くと、規制対象が大型貨物自動車・特定中型貨物自動車・大型特殊自動車に限定されることを意味します。補助標識がないときはやや広い範囲の車両が対象になる場合もあるため、絵柄を見て対象車両をしっかり確認しておきましょう。
最大積載量を示す補助標識
積載量を示す補助標識(車両の種類C)には「積○t」と書かれており、本標識の規制対象を「最大積載量○トン以下」の車両に限定します。例えば「積載量3t」と書かれた補助標識が付いている場合、本標識の規制は積載量3トン以下の大型貨物自動車に適用されるという意味になります。積載量が表示されているときは、トラックの最大積載量を意識して走行可能かどうか判断する必要があります。
まとめ
大型貨物自動車に関する道路標識は、対象となる車両や適用条件が細かく決められているため、確実に意味を理解しておくことが重要です。大型貨物自動車は重量や積載量で定義され、バスとは区別されるため「大型貨物自動車等通行止め」標識で規制対象になるのは貨物トラック等です。また、補助標識によって対象をさらに限定するケースや、高速・一般道でトラックレーン(車線指定)標識が設けられている場合もあります。これらの標識を正しく読み取り、安全運転につなげることで、運行トラブルを未然に防ぎましょう。