大型ダブルキャブトラックは、運転席と助手席の後ろにも座席を備えた大型車両で、6人以上が乗車できる仕様となっています。複数の作業員と荷物を同時に運搬できるため、建設現場や物流業界などで注目されており、業務効率の向上に寄与します。本記事では、大型ダブルキャブの基本的な特徴からメリット・デメリット、最新モデルや選び方まで詳しく解説します。
目次
大型ダブルキャブとは何か
「大型ダブルキャブ」とは、前席(運転席・助手席)とその後方に2列目の座席を備えた大型トラックを指します。前席に2名、後席に3名程度を配置したモデルが一般的で、合計5名以上が乗車可能です。4ドア構造となっており、一般的なシングルキャブ(2ドア、乗車定員2~3名)に対して乗員数が大幅に増えるのが特徴です。そのため作業員と荷物を同時に運搬でき、建設現場や引越し、物流配送などで重宝されています。国内ではこれらの車両を「Wキャブ」と呼ぶこともあります。
大型ダブルキャブトラックは、乗員と荷物を効率よく同時に運ぶことができ、作業員を含むチーム輸送に適しています。特に人手不足が続く現場では、従来は複数台で行っていた運搬を1台で賄えることから注目されています。また、国内のいすゞ、日野、三菱ふそう、UDトラックスなど主要メーカーも多目的対応のダブルキャブモデルを展開しており、用途に合わせた車種選択が可能です。
大型ダブルキャブの定義
大型ダブルキャブトラックは、キャビンが4ドア構造になっている点で特徴的です。大型トラックは通常2~3人乗りですが、ダブルキャブでは前席に2名、後席に3名を配置することで、作業員を含めた5人以上が乗車できる仕様になっています。この設計により、荷台に載せられる貨物と併せて人員を運ぶ業務に適しています。海外では「クルーキャブ(Crew Cab)」とも呼ばれ、国内では「Wキャブ」と呼ぶこともあります。
乗員定員と運転免許
大型ダブルキャブトラックの乗車定員は一般的に5~6人程度です。ただし、車両総重量や車幅などの関係で、このような大型車を運転するには「大型自動車免許」が必要になります。普通免許では運転できないため、購入や運用時には大型免許保有者の確保が前提となります。なお、車両総重量3.5トン以下の中型クラスでは6名乗りや乗用車に近い装備を持つダブルキャブモデルも存在し、日産アトラスの普通免許対応モデルなどでは普通免許で運転可能です。このように、車両区分や免許区分も用途に合わせて選ぶポイントとなります。
【注意】大型ダブルキャブ車は車両自体の重量が一般的なトラックより重くなり、運搬物との合計重量が車両総重量制限を超えやすくなります。走行前には積載重量や車検基準を確認し、法令に適合する範囲で運用することが重要です。
大型ダブルキャブのメリット

大型ダブルキャブトラックの最大のメリットは、乗員と荷物を同時に運搬できる点です。特に以下のような利点があります:
- 乗員と荷物を同時輸送できる:複数名の作業員と資材を1台で運ぶため、車両台数を減らせ輸送効率が向上します。
- 人員移動の効率化:4ドア構造で多くの人数が乗車できるため、工事現場や設備点検などで必要な人員を一度に移動できます。
- 快適性の向上:室内空間が広く、後席でも快適に座れる設計の車種が多いです。長距離移動時でも乗員の疲労を軽減し、安全シートベルトやエアコンなどの装備も充実しています。
- コスト削減効果:1台で人員輸送と荷物輸送を賄えるため、別途マイクロバスや車両を用意する必要がなく、燃料費や人件費、車両維持費の低減につながります。
以上のように、大型ダブルキャブは人員輸送と貨物輸送を両立できるため、目的に応じた高い効率性を発揮します。多数の作業員を同時に運ぶ必要がある現場や、多人数で移動するイベント・観光用途などで特に威力を発揮します。
大型ダブルキャブのデメリット・注意点
一方、大型ダブルキャブ車にはいくつかのデメリットや注意点もあります。主なデメリットは以下の通りです:
- 車両価格・維持費の増加:キャビンが大型化し座席数が増える分、車両価格が高くなります。また、保険料や車検費用など維持コストも増加し、ランニングコストが上昇します。
- 燃費や積載量への影響:キャビンと車体が重くなるため燃費が悪化しやすく、荷台サイズも狭くなるケースが多いです。結果として積載可能な貨物量は減少し、重量制限への配慮が必要になります。
- 取り回しの悪化:全長や全幅がシングルキャブより大きくなりがちで、小回り性能が落ちます。狭い道路や駐車場では運転時に注意が必要です。
これらの点を踏まえ、大型ダブルキャブ車を導入する際は、用途に合わせた検討が重要です。特に車両価格や燃費といったコスト面と、乗員数や走行ルートなどの実運用を比較し、総合的な判断を行いましょう。
大型ダブルキャブの選び方・ポイント
大型ダブルキャブトラックを選ぶ際は、導入目的や条件に合わせて以下のポイントを確認しましょう:
- 用途に応じた乗員数と積載量:実際に輸送する作業員数や荷物量を想定し、前席・後席を含めた乗員数と荷台の積載量のバランスを考えます。
- 車両サイズと重量:運搬ルートや駐車スペースを考慮し、全長・全幅・全高が適切か確認します。車両総重量の制限も見込み、走行ルートの道路規制に抵触しないかチェックします。
- エンジンスペックと燃費:積載量に見合うエンジン出力と燃費性能を確認します。重くなる車両を長距離運転する場合、燃費や燃料タイプ(ディーゼル、ハイブリッドなど)を重視します。
- 安全装備・快適装備:車線逸脱警報や衝突軽減ブレーキなどの最新安全装備が搭載されているか、後席にもエアコン吹出口やシートベルトがあるかなど、乗員の安全と快適性を確認します。
- 価格と総合コスト:車両価格だけでなく、保険料・整備費・税金などのランニングコストも考慮します。複数社の見積もりや燃費基準などを比較し、コストパフォーマンスが高いモデルを選びましょう。
以上のポイントを踏まえ、複数の車種・グレードを比較検討し、自分のニーズに最適な大型ダブルキャブトラックを選びましょう。また、実際に試乗して乗り心地や運転感覚を確かめることも重要です。
大型ダブルキャブの最新モデルと動向
近年の大型トラック市場では、安全装備や環境対応技術の進化が進んでいます。大型ダブルキャブ車を提供するメーカーでも、新型モデルは衝突軽減ブレーキやレーンキープアシスト、死角検知センサーなど先進安全技術を標準搭載する例が増えています。たとえば、あるメーカーの新型大型トラックでは、左折時の巻き込み検知警報が採用されるなど、安全性能の充実が図られています。また、キャビンの快適装備も拡充されており、長距離移動時の疲労軽減につながっています。
環境性能面では、燃費向上や排出ガス規制への対応が重要視されています。日本ではディーゼルエンジンが主流ですが、長期的にはEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)などの技術も注目されています。例えば欧米では重量級トラックの電動化が進んでおり、国内でも補助エンジンを減速に活用するハイブリッド型大型トラックの開発が進んでいます。
市場動向としては、運送業界や建設業界の人手不足を背景に、小型・中型に加え大型トラックでもダブルキャブの需要が拡大する傾向が見られます。乗員輸送を効率化できるダブルキャブ車は稀少価値が高く、新車・中古車ともに一定のニーズがあります。また、作業用途別に特別架装を施した車両(例えば現場用の工具箱や後付作業台の装備車)も増加しており、多様なニーズに応える車種が登場しています。
大型ダブルキャブと他のトラックとの比較
大型ダブルキャブ車とシングルキャブ車にはそれぞれ一長一短があります。以下の比較表に主な違いをまとめました。
| 項目 | ダブルキャブ | シングルキャブ |
|---|---|---|
| 乗員定員 | 4〜6人程度(前後席合わせて) | 1〜3人(運転席・助手席のみ) |
| 荷台スペース | 後席の分、荷台長が短くなる | 乗員スペース分荷台が広い |
| 車両サイズ | キャビンが大きく全長が長め | キャビンが短く取り回しが良い |
| 価格・維持費 | 高め(車重・数値が増える分、税や燃費が悪化) | 比較的安価(構造がシンプル) |
比較表からわかる通り、ダブルキャブ車は乗員数を優先する設計であるのに対し、シングルキャブ車は積載量(荷台空間)を優先しています。ダブルキャブでは荷台長が短くなるものの、キャビン内部は広く快適で、多人数を効率的に輸送できます。シングルキャブは荷物運搬能力が高い一方で乗員数が限られるため、用途に応じて使い分けが必要です。
ダブルキャブとシングルキャブの比較
乗員輸送を重視する場合や作業員と資材の同時輸送が必要ならダブルキャブが優れています。一方、荷物中心の輸送が主目的であれば、シングルキャブ車の方が荷台が大きく積載性が高いです。どちらも大型免許が必要な車種であるため免許区分に差はありませんが、用途に合わせて選ぶことで運用効率が変わります。
他の運搬車両との使い分け
作業員のみ大量輸送する場合はマイクロバスやワゴン車を利用するケースもありますが、荷物がある現場では大型トラックの能力が必要です。乗員だけであれば乗用車やバス、荷物だけならトラックという選択肢の中で、両方を運ぶ必要があればダブルキャブトラックが有効です。例えば、4〜6人の作業員と道具・資材を同時に運ぶ必要がある現場では、ダブルキャブ車の優位性が発揮されます。
まとめ
大型ダブルキャブ車は、乗員数と貨物輸送力を両立できる点で大きな魅力があります。建設現場や物流、人員輸送を要する作業など、多人数と荷物を同時に運搬する業務で高い効果を発揮します。その一方で、車両価格や燃費面では不利になるので、導入前にはコストやルート、使用頻度を踏まえて車種を検討する必要があります。記事で紹介したメリット・デメリットや選び方のポイントを参考に、自分のニーズに合った大型ダブルキャブトラックを選定してください。