2トントラックは普通免許で運転可能か、多くの人が疑問に思っています。近年、普通免許で運転できるトラックの範囲が改正され、2トントラックの運転にはより大きな免許が必要になるケースもあります。この記事では、普通免許保有者がどのような条件で2トントラックを運転できるのか、免許区分や最新の法改正のポイントを2025年現在の視点でわかりやすく解説します。
さらに、普通免許で運転可能な小型電動トラックの登場など新たな動向も踏まえ、トラック運転に必要な免許区分と注意点を丁寧に紹介します。
目次
2トントラックは普通免許で運転できる?
普通免許で2トントラックを運転できるかは、免許取得の時期と車両の重量に大きく左右されます。結論として、2017年3月12日以降に取得した普通免許では、一般的な2トントラックのほとんどを運転できません。これは2017年の法改正で普通免許の運転可能な車両総重量・積載量の上限が引き下げられたためです。
一方、旧制度の普通免許(2007年以前や2007~2017年までに取得)では、経過措置により5トン限定準中型・8トン限定中型に相当する扱いとなり、2トントラックの一部は運転可能です。
2017年以降の普通免許で運転できる車両
2017年3月12日の道路交通法改正以降に取得した普通免許では、車両総重量3.5トン未満・最大積載量2.0トン未満の車両に限定されます。そのため、この制限を超える車両は普通免許で運転できません。
いわゆる「2トントラック」の多くは最大積載量が2.0トン前後、車両総重量が5トン前後のモデルであるため、普通免許の範囲外になります。
例えば、荷物を積んでいない状態でも車両本体だけで約3トンあるケースが多く、そこに2トンの荷物を載せると総重量は約5トンに達します。これでは普通免許(3.5トン未満)がカバーできません。
旧普通免許(経過措置)における取扱い
2007年6月2日から2017年3月11日までに取得した普通免許は経過措置により「5トン限定準中型免許」と同様の扱いとなり、車両総重量5トン未満・積載量3.0トン未満のトラックを運転できます。
この範囲内であれば、多くの2トントラック(ロングボディを除く)は問題なく運転可能です。
また、2007年6月1日以前に取得した普通免許は「8トン限定中型免許」の扱いとなり、車両総重量8トン未満・積載量5.0トン未満のトラックまで運転可能です。
2トントラックとはどんな車両?

「2トントラック」とは、最大積載量がおおむね2.0トン前後の小型トラックを指す通称です。こうしたトラックは車両本体の重量もあり、乗員や燃料を含めた車両総重量が約5トン前後になります。
全長やボディ形状は車種によって異なり、標準キャブのほか長いロングキャブや幅広タイプのモデルもありますが、いずれも多くの場合、普通免許の重量制限を超える車両です。
車両総重量と積載量の目安
2トントラックの車両総重量は、車両の重量に乗員や満タンの燃料などを加えた値です。一般的な2トントラックは積載量約2.0トン、車両重量(空荷時)が約3.0トン前後で設計されています。
したがって、荷物を満載すると総重量は約5.0トンとなり、普通免許の運転可能限界(総重量3.5トン)を大幅に超過します。
代表的な2トントラックの車種
代表的な2トントラックには、日野「デュトロ」やいすゞ「エルフ」、トヨタ「ダイナ」、日産「アトラス」などがあります。主な車種の車両総重量や最大積載量の例を以下の表にまとめました。
車種 | 車両総重量 | 最大積載量 | 備考 |
---|---|---|---|
日野 デュトロ 2t | 約5.0t | 2.0t | 代表的な小型トラック |
いすゞ エルフ 2t | 約4.8t | 2.0t | 多くのモデルで普通免許では運転不可 |
トヨタ ダイナ(標準幅 2t) | 約5.0t | 2.0t | 車種によって総重量は変動 |
日産 アトラス 2t | 約4.8t | 2.0t | 一部グレードは普通免許対応 |
このように主要モデルでは車両総重量が4トン台後半から5トンに達しており、普通免許(総重量3.5トン未満)では運転が難しいことがわかります。
2トントラック運転に必要な免許
普通免許の範囲を超える2トントラックの運転には、より大きな免許区分が必要です。現在の制度では、荷物の重さや車両総重量に応じて「準中型免許」または「中型免許」を取得するケースが一般的です。
準中型免許の運転範囲
準中型免許は2017年3月に新設され、車両総重量7.5トン未満・最大積載量4.5トン未満の車両を運転できます。2トントラックは総重量5トン前後・積載2トン前後であるため、準中型免許の範囲内になります。つまり、新制度以降に普通免許だけの人が2トントラックに乗りたい場合は、準中型免許(5トン限定免許を含む)を取得する必要があります。
準中型免許は18歳以上で取得でき、運転できる車両の幅が広がる選択肢となっています。
中型免許の運転範囲
中型免許は車両総重量11トン未満・最大積載量6.5トン未満の車両に対応する免許です。基本的に4トントラック以上を運転するための免許ですが、2007年以前の普通免許(8トン限定)と同等の条件となります。中型免許を持っていれば準中型・普通免許の範囲もすべてカバーできますが、2トントラックの運転には準中型免許で十分なことが多いです。
2トントラック運転時の注意点
2トントラックを運転する際には、免許区分だけでなく車両重量や積載量を正しく把握することが欠かせません。ここでは、運転前に確認すべきポイントや、免許の範囲外で運転した際のリスクについて解説します。
車検証と免許証で確認すべきポイント
運転前には車検証に記載された「車両総重量」と「最大積載量」を必ず確認しましょう。これらの数値が、今持っている免許の範囲内かどうかを見極めます。同時に、免許証記載の取得年月日をチェックし、自身の免許取得時期に応じた運転範囲を把握しておくことも重要です。
たとえ荷物を積んでいない状態でも、車両総重量が普通免許の上限を超えていれば運転できませんので注意が必要です。
また、よくある誤解には以下のようなものがあります。
- 最大積載量が2.0トンぎりぎりなら普通免許でOKと思い込むこと(総重量超過なら違法)
- 近距離・荷物少量なら免許区分外でも大丈夫だと思うこと(距離に関係なく無免許扱い)
これらの点を守り、常に合法的な運転を心がけましょう。
無免許運転のリスクと罰則
免許の範囲を超えた2トントラックの運転は無免許運転となり、違反点数の加算や罰金刑の対象となります。一般的には数点の違反点数が付加され、数万円の罰金が科せられるケースが多いです。
さらに、事故を起こした場合は任意保険が適用されない恐れがあるほか、勤務先・取引先からの信頼を失うなど深刻なペナルティを招きます。安全運転のためにも、免許条件を厳守し車両重量をオーバーしない運用を徹底しましょう。
普通免許で運転可能な小型トラックの最新事情
2024年以降、働き方改革によるトラックドライバーの時間外労働上限規制(いわゆる「2024年問題」)を受け、普通免許のみのドライバーでも扱える車両の需要が高まっています。
これを背景に、総重量3.5トン未満の小型トラックやEVトラックを採用する動きが活発化し、普通免許保有者の活躍できる場が広がっています。
2024年改正と小型トラックの活用
2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働上限が適用されたことで、物流業界では普通免許で運転できる車両の活用が進んでいます。総重量3.5トン未満に該当する小型トラックを使うことで、普通免許保有者が配送業務に従事できるように工夫されています。
その結果、従来の1~1.5トン車に加えて、より搭載量のある車両でも普通免許で運転できるモデルの導入が増えています。
普通免許対象の新型トラック車種
自動車メーカー各社は普通免許で運転できるモデルの開発・販売を進めています。例として日野自動車は2022年に小型EVトラック「デュトロ Z EV」を発売し、乗降性や使い勝手を向上させたモデルを投入しました。いすゞ自動車も2024年にEV小型トラック「エルフ ミオ」を発売し、従来車と操作性を共通化しながら先進安全技術を備えています。これらの車両は総重量3.5トン未満・積載1.5~2.0トン級で、普通免許ドライバーにも扱いやすい設計です。
なお、ダイハツの軽トラック「グランマックス」(OEM:トヨタ「タウンエース」/マツダ「ボンゴ」)は2023年に販売停止となりましたが、本来は普通免許で運転可能な車両でした。物流現場ではこれら軽量トラックの早期復活にも期待が寄せられています。
まとめ
2トントラックは2025年現在の普通免許の運転範囲(車両総重量3.5トン未満・積載量2.0トン未満)では基本的に乗れません。免許取得時期によっては旧免許扱いで運転できる場合もありますが、2017年以降取得の普通免許では準中型免許以上が必要です。
一方で、普通免許で運転できる小型トラックのラインナップは増えているため、車両を選ぶ際は積載量だけでなく車両総重量にも注意しましょう。車検証に記載された数値と、自分の免許区分を必ず照らし合わせてから、安全に運用してください。