大型トラックなど重量のある車両を所有するユーザーにとって、重量税は無視できない維持コスト要素です。
重量税は車両の重量に応じて課せられる国税で、総重量が大きいほど負担が重くなります。
また、自動車検査時にまとめて支払うため、維持費全体に与える影響も大きい点が特徴です。
近年は燃費や排出ガス性能を反映した新制度も導入され、環境性能の低いトラックほど税額が増える傾向があります。
本記事ではトラックに関連する重量税の仕組みから計算方法、最新の減免・増税制度まで、わかりやすく解説します。
目次
トラック重量税とは何か?
自動車重量税は、車両の重量に応じて課税される国土交通省所管の税金です。車検(自動車検査・登録)時に納付し、道路整備や交通安全施策の財源に充てられます。トラックの重量税も同様に車検時に支払う税金で、総重量が重いほど税額が大きくなります。
自動車重量税の基本
自動車重量税はトラックを含む全自動車に課せられる税金で、車両の重量が重いほど高額になります。重量税は車検時にまとめて納付し、納付した税金は道路維持などに使われます。
- 納付時期:通常、車検(継続検査)時に2年分(初回は3年分)を前納
- 課税基準:車両総重量0.5トンごとの階級に応じて定められる
- 税負担:車両重量が増えるほど税率が上がり、大型車ほど負担が大きくなる
トラックに特徴的な課税方式
トラックの重量税は車両総重量を基準に課せられ、重いトラックほど高い税額になります。総重量8トン以下のトラックは2年分の重量税を支払いますが、8トン超の大型トラックやバスは1年ごとに課税され、税額がさらに高額になります。例えば、総重量1トン未満の小型トラックでは税額が低く抑えられますが、総重量3トン超では数万円の税額になります。
納付タイミングと目的
重量税は通常、車検時にまとめて納付します。新車登録時には初回車検までの3年間分を前納し、2回目以降は2年分を前納するのが一般的です。納付した重量税は国庫に入り、道路や橋梁の維持更新費用などに充てられます。トラックでも同様に車検の際に重量税の支払いが必要です。
トラック重量税の計算方法

トラックの重量税は車両総重量によって決まり、階級ごとに税額が設定されています。以下の表は代表的な税額例で、自家用トラックの2年分の税額(エコカー減税のない通常時)を示しています。
| 車両総重量 | 重量税(自家用・2年分) |
|---|---|
| ~1.0トン | ¥6,600 |
| ~2.0トン | ¥13,200 |
| ~3.0トン | ¥24,600 |
| ~4.0トン | ¥32,800 |
| ~5.0トン | ¥41,000 |
| ~6.0トン | ¥49,200 |
| ~7.0トン | ¥57,400 |
| ~8.0トン | ¥66,000 |
このように、トラックでは重量が増すごとに税額が大幅に上がります。なお、総重量8トン以上の大型トラックやバスは重量税の納付が1年ごとになるため、税額はさらに高額になります。例えば総重量10トンのトラックでは、1年分で約45,600円の重量税がかかります。
自家用トラックと事業用トラックの違い
重量税は自家用車(個人用)と事業用車(営業用)で税額が異なり、事業用の方が税率が低く設定されています。例えば車両総重量2.0トンのトラックでは、自家用が2年分で約13,200円なのに対し、事業用では約8,400円(2年分)となります。大型トラックでも同様に事業用のほうが割安な税額です。
重量税の計算例
例えば自家用トラックで総重量2.5トンの場合、前述の表から2年分の重量税は約19,800円です。この数値が総重量3.5トンになると約32,800円に上がります。重量税は重量に応じて階級ごとに増えるため、車両重量がわずかに増えるだけでも税額が大きく変わる点に注意が必要です。
トラック重量税の軽減・免除制度
グリーン化特例やエコカー減税
トラックにおいても低公害車やエコカーは重量税の優遇対象です。環境性能の高いディーゼル車であれば、グリーン化特例により重量税が75%軽減される場合があります。さらに、電気トラックや燃料電池トラックなど排出ガスゼロの車両は、新規登録時の重量税が全額免除されます。
新車登録時の免税・軽減
新車登録時には重量税を3年分まとめて納付しますが、条件により減免措置が受けられることがあります。例えば電気トラックや燃料電池トラックなど環境性能の高い車両では、新車登録時に重量税が全額免除されます。また、一定の排出ガス基準をクリアしたディーゼル車や安全装置を搭載したトラックも、初回車検時まで減税対象となるケースがあります。
経過年数による増税(重課)
一定年数が経過したトラックには「重課」が適用され、税額が加算されます。具体的には、ガソリン車は新規登録から13年超、ディーゼル車は11年超で標準税率の約10%が上乗せされ(18年超では約20%上乗せ)、重量税が重くなります。古いトラックほど税負担が増える仕組みのため、長期間同じ車両を使い続ける場合は注意が必要です。
重量税改正とトラックへの影響
燃費性能を基準にした新制度
最近の自動車税制改正で、これまで重視されていた車両重量に加えて燃費性能も課税基準に組み込まれました。トラックも例外ではなく、新しい燃費基準を満たさない車両は従来より高い税額となる可能性があります。一方で、燃費性能に優れた最新のハイブリッド技術や電動技術を備えたトラックは、減税対象として引き続き優遇される見込みです。
環境対応車の優遇措置
環境負荷の少ないトラックは、重量税面でも優遇されます。具体例として、電気トラックや燃料電池トラックなど排出ガスゼロの車両は、新規登録時の重量税が免除されます。大型エンジン搭載車でも燃費の良いモデル(新燃費基準達成車)はグリーン化特例が適用され、重量税が減額されます。
- 電気トラック・燃料電池トラック:新規登録時の重量税が全額免除
- 高性能ディーゼル大型トラック:新規・継続検査時に75%減免(グリーン化特例適用)
- 燃費基準未達成の古いトラック:13年経過で重課が適用され、税額が増加
古いトラックの増税リスク
燃費性能が低い古いトラックは、今後の制度変更で税負担が増える懸念があります。特に燃費基準を満たさない旧型トラックでは、次回の車検時に重量税が従来より増額される可能性があります。既に13年を経過したトラックは重課の対象であり、さらなる基準強化で結果的に増税となることも予想されます。
まとめ
トラックの重量税は、車両重量が重いほど税額が高くなる仕組みで、大型トラックでは負担額が大きくなります。自家用より事業用のほうが税率は低く、エコカーや燃費性能の良い新型車は減免措置を受けられます。燃費基準の強化により、古いトラックほど重量税の負担が増加する傾向にあります。重量税の計算方法と優遇・重課制度を把握しつつ、維持費軽減や車両更新の判断材料にしてください。特に車両の買い替え検討時には重量税負担を考慮するといいでしょう。